牧師の聖書コラム

 

第3回 「平和を実現する」
上林順一郎

 8月を迎えました。しかし、新型コロナウイルスの感染が収束せず、心躍る夏を過ごすことも期待できそうにないのが残念です。
 さて8月と言えば、私たちはかつての戦争の悲惨を思い起こし、平和への誓いを新たにする月でもあります。8月6日、世界で最初のアメリカによる広島への原爆投下、8月9日の長崎への2度目の原爆投下、それぞれ20万人近い市民の命が奪われました。そして8月15日の敗戦記念日、この戦争で日本人は310万人以上の人々が死に、さらに日本の侵略によりアジアの多くの人々の命が奪われました。国によってはその実数はいまだに不明ですが、数百万人とも、それ以上とも言われています。そうした事実を忘れることなく、平和への決意をさらに強くしたいものです。
 「平和を実現する人々は幸いである。その人たちは神の子と呼ばれる」(マタイによる福音書5章9節)とイエスは語られました。具体的にはどのようなことをするのでしょうか?すぐ次の言葉は「義のために迫害される人々は幸いである。天の国はその人たちのものである」とあります。いま日本では、現実には戦争の状態にはありません。しかし、憲法の改定や軍備の増強など戦争への備えを図る動きは強くなっています。そうした戦争への動きに反対することに対して力づくで抑えようとする政治権力の力は次第に強くなり、自由な発言や行動も行うことが難しくなりつつあります。しかし、平和は「義にために迫害される」ことなくして実現できないのです。「ダビデの王座とその王国は公正と正義によって立てられ、支えられる」(イザヤ書9章9節)  
 私たちの国が公正と正義によって立てられ、支えられる国となりますように祈りつつ、小さな力であっても「義のために闘う」8月としたいものです。

2020年8月


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