牧師の聖書コラム

 

第8回 「牛の歩みでも、前へ」
上林順一郎

 あけましておめでとうございます。主の年、2021年を迎えました。しかし昨年から全国に広がった新型コロナの感染拡大は止まることは知らず、1月7日に政府は一都三県(神奈川、埼玉、千葉県)に「緊急事態宣言」を出さざるをえず、さらなる深刻な状況となっています。見えぬ病原との更なる戦いが待ち受けている暗い思いでこの年を始めなければならないのは悲しいことです。
 「世間は新年の贈り物をしたいだろうが、あなたは施しをすべきである。世間は陽気に歌いたいだろうが、あなたは聖書のみ言葉に近づくべきである。世間は急いで演劇に赴きたいだろうが、あなたは教会にいくべきである。世間は自分を酔わせたいだろうが、あなたは断食をすべきである」
 キリスト教の最大の思想家、神学者とされるアウグスティヌスの言葉です。当時のローマでは新年を迎えると人々は飲めや歌えのドンチャン騒ぎをし、友人同士で高価な贈り物を交換し、また劇場や競技場に集まって娯楽を楽しんだそうです。
 それをまねしたのか、「GO TO トラベル」、「GO TO イート」など経済支援を中心にした政府の政策は見事に外れ、いまは自粛、自粛の掛け声です。もちろん自粛も大切ですが、これを機にアウグスティヌが言うように一年の初めに聖書を読み、教会に行き、華美な生活を慎み、断食をし、貧しい人々に施しをすることを学んでみてはどうでしょうか。
 干支(えと)では今年は丑年になります。聖書には「肥えた牛を食べて憎み合うよりは、青菜の食事で愛し合う方がよい」(箴言15:16)とあります。貧しい青菜を分かち合って食べる一年としたいものです。
2021年1月


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