牧師の聖書コラム

 

第11回 「死から始まるいのち」
上林順一郎

 「生老病死」という言葉があります。生(しょう)とは生まれることです。老とは老いること、病は病気になることです。そして、最後は死。この四つを称して四苦と言います。四苦とは生きること自体が苦しみであるという仏教の教えの一つです。
 私たちクリスチャンも四苦の人生を生きています。いわば私たちの人生の前にマイナスと言う記号があるということになります。しかし、そうでありながらも人生が苦であり、死がすべての終わりであるとは思わないのです。
 それはイエスが「わたしは復活であり、いのちである。わたしを信じる者は、死んでも生きる。生きていて私を信じる者はだれも決して死ぬことはない」(ヨハネによる福音書11章25節)、と語られたように、イエスご自身が死に勝利され復活されたという信仰を持っているからです。
 それはイエスご自身が四苦を経験されたからです。しかも十字架の死と言うもっとも苦しく辛い死を受けられたからです。それはイエスの人生の前にも十字架の死と言う「-」の記号がついていたことです。イエスはご自分の死というマイナスによって私たちのマイナスの人生をプラスに変えてくださったのです。算数ではマイナスとマイナスをかけるとプラスになります。復活とは、マイナスの人生がプラスのいのちに変えられたということです。
 ところで「+」のかたちは何かに似ていませんか?そうです、十字架です。十字架はイエスの死を表すものですが、むしろイエスの復活の勝利を示すものです。
 「わたしはキリストと共に十字架につけられています。生きているのは、もはや私ではありません。キリストが私の内に生きておられるのです」(ガラテヤの信徒への手紙2章20節)
 復活から新しいいのちの一年が始まります。みなさん、イースタートを!

2021年4月


ウィンドウを閉じる