牧師の聖書コラム

 

第22回 「 新しい出発を!」
上林順一郎

  長い冬が過ぎ、春を迎えました。キリスト教ではこの時期の40日間を「受難節」(カトリック教会では『四旬節』)と呼んで、イエス・キリストが十字架にかけられた苦しみを覚えつつ、節制や禁欲、修練や祈りの時として過ごします。
 そのカトリック教会ですが、礼拝堂に入ると壁にイエス・キリスト受難の場面が絵や彫刻などで描かれています。これを「十字架への道行き」といい、14の受難の場面が描かれています。信徒たちはその絵、「留(りゅう)/ステーション」と言いますが、その前に立ち止まって、絵とそこに書かれている聖書の言葉を読み、祈りを捧げます。
 最後の14番目の「留」は「イエスが墓に葬られる場面」です。この「十字架への道行き」の14の「留」を巡り終えると、本当にイエス・キリストの苦難が心に迫ってきます。プロテスタント教会にこの「十字架への道行き」がないのが残念です。
 カトリック教会の礼拝堂はいつも開かれていますので、まだご覧になっていない方は、ぜひ一度入ってご覧になってはいかがでしょうか。見終わった後、礼拝堂の椅子に座って静かにひとときを過ごすのは、忙しさに追われる私たちにとって恵まれた静謐な時となります。
 「十字架への道行き」が「イエスが墓に納められる」場面で終わっていることに、個人的には残念な気がしていたのですが、最近15番目の「留」を作るカトリック教会も出てきたと聞きました。15番目の「留」は「イエスが復活する」場面です。キリスト教の信仰はイエス・キリストの死でもって終わるのではなく、「復活」へと続くのが私たちの信仰であり、希望なのです。
 春はいのちのよみがえりを味わう時、すなわちイースターです。 今年のイースターは4月17日(日)です。一度、教会のイースターに来てみませんか?新しい出発の時となりますよ!
2022年3月


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