牧師の聖書コラム

 

第27回 「平和を実現する人々」
上林順一郎

  “623 8689815 53 につなげ われらいま生く”
以前、「朝日歌壇賞」に選ばれた歌です。数字がほとんどのこの歌、いったい何を歌っているのでしょうか? クレジットカードの番号?マイナンバーカードの番号?
 今年も8月を迎えました。2月24日に突然ロシアが隣国のウクライナに侵略し、両国間で激しい戦争が続き、6か月たった今も戦火は収まる気配はありません。そんな中での今年の8月です。日本では戦後8月を「かつての戦争を反省し、平和を祈念する月」として位置付けてきました。もう二度と戦争をしてはならない、という決意を新たにする月でもあるのです。
 先の数字ですが、「86」は8月6日、アメリカによって世界で初めて広島に核兵器が使用され、20万人近い市民が死亡しました。「89」は8月9日、長崎で2度目の原爆が落とされ、やはり20万に近い人々の命が奪われた日です。もうお分かりでしょう、「815」は8月15日、敗戦の日です。戦争を二度としないと多くの人々が決意した日でもあります。
 では「623」はなんでしょうか?6月23日、「沖縄戦」と呼ばれる日本で唯一の戦場となり、沖縄の多くの市民の命が奪われた悲惨な戦いが終った日です。いずれの数字も戦争の悲惨を示す日を表しています。
「53」はもうお分かりでしょう。5月3日、「憲法記念日」です。日本の憲法は「平和憲法」と呼ばれ、軍備を放棄し、二度と戦争をしないという決意を込めたものです。
 しかし、この憲法の改変を進める動きが強くなっています。特に今回のロシアのウクライナ侵略を機にアジアにおける戦争の危機と軍備増強の主張も強くなってきました。
 「戦争を始めることは簡単だが、戦争を終わらせることは至難である」戦争、特に核兵器の恐ろしさを知っている私たちは、いかなる戦争にも反対し平和の大切さを考えていく責任があるではないでしょうか。
 「平和を実現する人々は、幸いである。その人たちは神の子と呼ばれる」(マタイによる福音書5:9)

2022年8月


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