牧師の聖書コラム

 

第30回 「愛とは?」
上林順一郎

 キリスト教の中心のテーマは何か?もしひと言で言うとすれば「神は愛である」(ヨハネの手紙一、4:16)です。でも、「愛とはなにか?」と問われれば、答えるのとても難しいのですが、「愛」をどのように言い表わせばよいか、英語の「LOVE」を使って説明してみます。
 まず、LOVEの最初のLは「Listen」です。相手の言葉にまず耳を傾けてよく聴くことです。聴くことはその人を受け入れることです。愛の始まりです
 次に、LOVEのOは「Open」です。心を開くことです。心を開いて相手を受け入れることです。心を開くことなくして愛は起こりません。
 三つめはLOVEの「V」ですが、「Voice」です。名詞形は「声」ですが、動詞形になると「呼びかける」、「応える」という意味になります。聞くだけで終わるのではなく、応えること、声をだして応答することです。言葉を変えて言えば「無視しない」と言うことです。愛とは「無関心」や「無責任」にならないということです。マザー・テレサは「無関心」は現代の最も大きな病である、と言っています。
 最後のEは、「Eat」です。「食べる」こと、もっと言うなら「共に食べる」ということです。最初の教会では集まるたびに「共に食事」をしていました。そのことによって、イエスと共に食べた食事の出来事を思い起こし、そして「神の国」での食事を前もって体験していたのです。最初の教会にはあらゆる人々が身分や階級を超えて共に食卓に着いていたのが特徴でした。その食事を「アガペー(愛)」と呼んでいました。「分かち合う」という愛の実践の場所でもあったのです。愛餐の場はただ食事をするだけでなく、互いに「分かち合い」、共に「仕え合う」場であったからです。
 愛とはどうすることなのか?まず相手の言葉に聴き、心を開き、声を掛け合い、共に食事を分かち合う、そこにはすでにアガペー(愛)が起こっているのです。愛は決して難しくないと言えるのです。しかし、その愛が欠けているのも私たちの世界の悲しい現実です。

2022年11月


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