牧師の聖書コラム

 

第33回 「受難節とは」
上林順一郎

  「西の十字架、東の復活」という言葉があります。「西」というのは西方のキリスト教、すなわちカトリック教会のことで、カトリック教会では信仰の中心に十字架を置いているという意味です。
 一方「東」というのは東方のキリスト教のことで、ギリシア(ロシア)正教会では、復活を信仰の中心に置いているということを示しています。
 今年の教会のカレンダーでは、2月22日(水)から受難節(レント)が始まり、4月7日(金)にイエス・キリストが十字架につけられた「聖金曜日」、そして4月9日(日)の復活祭(イースター)へと続きます。
 キリスト教の信仰では「十字架か、復活か」、という二者択一ではなく、「十字架と復活」の二つが信仰における最も大切な事柄なのです。
 さて、受難節が始まりましたが、この時期にはイエス・キリストの十字架への苦難を覚えて、節制、克己、祈り、禁欲、断食など、日頃無縁な自己鍛錬、修練を行う時として守られてきました。
 「私たちは、朽ちない冠を得るために節制します。自分のからだを打ちたたいて服従させます。それは、他の人々に宣教しておきながら、自分の方が失格者になってしまわないためです」(コリントの信徒への手紙一、9:25~27)
 そうとは言ってもなかなか節制や禁欲は難しいのです。そこで受難節の過ごし方を紹介します。カトリック教会の礼拝堂に入ると、礼拝堂の壁に「受難の道行き」というイエス・キリストの受難の絵が14枚かけられています。その一枚一枚を見ながら、そこに書かれている聖書の言葉を読むだけでも意味があります。礼拝堂には誰でも入れますから、一度「受難の道行き」をご覧になってください。チョット安易な受難節の過ごし方かもしれませんが。

2023年2月


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