牧師の聖書コラム

 

第35回 「心が燃えるとき」
上林順一郎

 「春はあけぼの」と書き始めたのは「枕草子」の著者・清少納言ですが、「あけぼの」というのは朝のどの頃を示しているのでしょうか?「春はあけぼの、やうやうしろくなりゆく山際の、少し明かりて、紫だちたる雲の、細くたなびきたる」と続きます。
 もっとも、今日の都会は高いビルに囲まれており、このような風情を見ることも不可能ですし、そのような「うたごころ」も余裕もないというのが私たちの毎日の生活の現実と言えるでしょう。
 それでも、春の朝早く、家を出て新鮮な空気を胸いっぱいに吸い、太陽のきらきらした光の中を散歩するだけでも身も心も洗われる思いがします。やはり春は一番イイ季節との思いを新たにするのです。
 今年のイースターは4月9日、春はイースターと共にやってきます。日本では一年のスタートは春が多いですから、イースターは「イイースタート!」、希望に燃える時でもあるのです。
 教会の一年もイースターから始まります。イエス・キリストの復活を祝うイースターは教会にとって最も大切な時ですし、喜びに満ちた時でもあります。
最近、日本でもあちらこちらで「ハッピー・イースター」という言葉を目にするようになり、「イースター」という言葉が少しづつ日本社会でも広まってきたのはうれしいことですが、肝心のイースターがイエス・キリストの死からの復活をよろこび祝うということにはほとんど触れられていません。春の季節のお祭りで終わってしまうとすれば少し残念です。

 “いのちが一番大切だと 思っていたころ 生きるのが苦しかった。
 いのちより大切なものが あると知った日 生きているのが嬉しかった”
                 (星野富弘・詩)
 「わたしたちの心は燃えていたではないか」(ルカによる福音書24:32)
 イエス・キリストの新しいいのちに出会い、心が燃えるハッピーな日、それがイースター!

2023年4月


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