牧師の聖書コラム

 

第36回 「おとうさんとおかあさんと」
上林順一郎

 おかあさんは わたしを生んだの
 それから わたしをそだてたの
 それから わたしをたのしみにしてたの
 それから わたしのために泣いたの
 それから
 それから あとはいえないの

 サトウハチローの「おかあさんはわたしを生んだの」と題する詩です。
 サトウハチローは「おかあさん」と題する詩集を三巻も出すほど「おかあさん」の歌を数多く書いた詩人ですが、 実は子どもの頃からわんぱくのかぎりを尽くし、青年時代は不良少年として家から勘当されること10数回、実家に居つくことなく放縦生活を送った人です。しかし、いや、だからこそ「おかあさん」という詩を数多く書いたのでしょう。

 5月の第二日曜日は「母の日」、おかあさんへの感謝の気持ちを表す日とされています。もともとはアメリカの教会学校ではじまったものですが、最近日本の教会学校では「母の日の行事」が少なくなっているようです。シングルファーザーの家庭への配慮があるのかもしれませんが、「おかあさん」の役割もしている「おとうさん」への感謝がもっとあってもよいと思うのです。
 「わたしは決して声をたてず、黙して自分を抑えてきた。今、わたしは子を産む女のようにあえぎ、激しく息を吸い、また息を吐く」(イザヤ書42:14)
 聖書の神様は「父なる神」であり、こどもを産む「おかあさん」の苦しみを共にする方であり、わたしのために泣いてくれる「おかあさん」でもあります。
 「おとうさんの愛」と「おかあさんの涙」への感謝の日が5月と6月にやってきます。
 おとうさんとおかあさんを与えてくださった神様にまず感謝!

2023年5月


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