牧師の聖書コラム

 

第38回 「主はわが力、わがいのち」
上林順一郎

 今年の7月、例年にない猛暑の日々が続きます。夕方になって涼しい風が吹いてくるかと待ちわびるのですが、枝はそよそよとも動きません。風のそよとも吹かない夜の寝苦しさは、まるで生き地獄です。
 ユダヤの国は気温の高い土地柄です。特に、死海の西に広がる砂漠地帯は一本の木も生えず、一滴の水も湧き出すことのない荒涼とした荒れ地です。ですから、真昼には激しい仕事に就くことも、また旅をすることもなく、人々は真昼を避けて陽が沈み、少し涼しくなってから旅をすることが多かったようです。
 「主はあなたを見守る方、あなたを覆う陰、あなたの右にいます方。昼、太陽はあなたを撃つことはなく、夜、月もあなたを撃つことがない」(詩編121:5,6)
 厳しい自然と向かい合って生きてきたユダヤの民は自然と闘い、自然を支配することよりも自然を造られた神の守りと恵みとにより頼むという創造神への信仰が生まれたのでしょう。
 「主が、すべての災いを遠ざけてあなたを見守り、あなたの魂を見守ってくださるように」と、祈るのです。その祈りは人生そのものに対する祈りともなります。「あなたの出で立つのも帰るのも、主が見守ってくださるように。いまも、そしてとこしえに」(詩編121:7、8)
 この世界に生まれた時から、神のみ許にかえる時まで私たちの人生は苦しみや悩みや悲しみに満ちています。しかし、「主の見守りに」すべてをゆだねて生きるのが、私たちの信仰のです。
 まだまだ暑苦しい日が続くようです。しかし、常に私たちの陰となり、右にいまして見守ってくださる主に寄り頼みつつ秋を迎えたいと願っています。 とはいえ、まだ1か月もありますが・・・

2023年7月


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