牧師の聖書コラム

 

第40回 「野の花を見よ」
上林順一郎

 9月も終わりを迎えますが、まだ夏のような暑い毎日が続きいています。春夏秋冬、日本には季節の移り変わりがあり、気候の変化は私たちの生活にいろいろな影響や変化を与えてくれ、それが日本の文化や芸術にも大きな影響を与えてきたのです。
 春夏秋冬、人によっては好きな季節は違うでしょうが、わたし個人は秋の季節が好きです。特に80歳を超え人生の終わりが近づく日々、秋の美しさを作り出してくれる自然の豊かだ、それを見守ってくださる神様の恵みと憐れみを想うことができるからです。
 “木にある時は 枝にゆだね 枝を離れれば 風にまかせ 地に落ちれば 土と眠る
 神様にゆだねた人生なら 木の葉のように 一番美しくなって 散れるだろう“
                     (星野 富弘)
 しかし、最近は秋が短くなり、夏の暑さがいつまでも続くような気候に変化しています。作物に悪影響を与え、気候風土を乱し、台風や大雨による風水害が世界の各地で頻発し、大きな災害を引き起こしています。気候の温暖化が一番の理由と言われていますが、それは科学や知恵を善や力とし、その進歩や発展を目指してきた人間のおごりが生み出したものでもあるのです。
 「野の花がどのように育つのか、注意して見なさい。働きもせず、紬もしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどには着飾ってはいなかった。きょう生えて、明日は炉に投げ込まれる野の花でさえ、神はこのように装ってくださる。まして、あなたがたにはなおさらのことではないか」(マタイによる福音書6:28~30)
 秋の野に咲く草花、空高く飛ぶ鳥たち、秋の夕陽の美しさ、夜空にまたたく星たち、それらを見ながら神の大きな愛を感じる日々こそ豊かないのちの時ではないでしょうか。
2023年9月


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